落花生の歴史
エッヘン!ワシはピー教授じゃ…

[落花生の歴史]
 
1.原産地
原産地については南米・アフリカ・中国などの説があるが、ブラジルで野生種が発見され、またペル−で
現在栽培されている品種とほとんど同じ形態の落花生の種子がアンコン文化をもつ遺跡から発見された
ことから、南米とする説が有力となっている。
原産地と見られるブラジルからペル−にわたる地域は、年平均気温20度以上の熱帯気候であり、また、
排水のよい高台である。
このように、落花生は高温で排水のよい条件で生まれた作物で、それが品種改良や栽培技術によって、
世界各国で栽培されるようになった。
原産地の落花生は、サツマイモやトウモロコシと同じように、アメリカインデアンの手で、南米はもちろん、
メキシコや西インド諸島にも伝えられた。
これらの地域からアフリカ、インド、東南アジアなどに伝えられたのは、近世になってからで、コロンブスが
西インド諸島を発見してからといわれている。したがって、落花生が世界的に栽培されるようになったのは、
西暦1500年以後であり、栽培の歴史は新しい。しかし、1972年の世界の作付総面積は約1970万ha
に達し、世界の重要農産物の一つになっている。

落花生の伝播

2.日本への導入
日本では、沖縄県でかなり古くから栽培されていたようである。本土へは宝永3(1706)年中国より伝播
したが、栽培には至らなかったとされている。しかし、江戸時代には「ナンキンマメ」の名称が残っており、
すでに栽培されていたのではないかとも考えられるが、明らかではない。
一般に栽培されるようになったのは明治に入ってからである。
神奈川県中郡の寺坂慶次郎氏が明治4年に、同二見庄兵衛氏が明治6年に、それぞれ横浜から中国産の
種子を取り寄せ試作した記録が残っている。
千葉県では、山武郡南郷村(現成東町)の牧野万右衛門氏が明治9年に神奈川県から種子を取り寄せ、
また、匝瑳郡鎌数村(現旭市)の金谷惣蔵氏も、県が鹿児島県から取り寄せた種子を使って栽培を始める
とともに、その普及奨励に努めている。千葉県の落花生の基礎をきずいた人である。
千葉県旭市鎌数大神宮境内には、金谷氏の功績をたたえた「干潟郷落花生記」の紀功碑がある。

[干潟郷落花生記]石碑

一方、政府も明治7年にアメリカから種子を取り寄せ、各地へ配布し、栽培の奨励を始めている。
このような先人たちの努力によって、明治38年の作付面積は約5,400haに達している。
明治38年は落花生の生産統計が農林省の統計書に始めて載った年である。
県別にみると、導入した横浜に近い千葉・静岡・神奈川三県での栽培が多く、そのほか、畑地の多い
茨城県・熊本県・鹿児島県でも栽培されている。
その後の作付面積は、多少の増減はあったものの順次ふえ、昭和16年には12,000haに達している。
戦後は、需要の増大に支えられて急速に増え、昭和40年には66,000haを超えるまでになった。
現在の産地は次グラフに示す通りで、千葉県・茨城県が最大の主産県であり、両県で全作付面積の
約4分の3を占めている。
両県とも、雨が比較的少なく、排水のよい畑が多く、落花生の適地である。

全国生産高グラフ

3.世界の分布
現在の主産地はアジア、アフリカなどの熱帯諸国である。なかでも、インドは作付面積が690万haもあり、
世界の総生産の約4分の1をしめている。世界第二位は中国で、230万haの作付面積がある。
両国を中心に、ビルマ(現ミャンマー)、インドネシア、タイなど東南アジア地域でも盛んに生産されている。
アフリカでは、ほとんどの国で栽培しており、とくに、西アフリカのナイジェリアは約185万haと、インド、
中国に次ぐ作付面積がある。
原産地の南米では、ブラジルで65万haの作付面積があり、また、アメリカでも60万haの作付面積がある。
10アール当たりの莢つき収量は、各国とも100キロ前後ときわめて低いが、アメリカでは200キロ以上で
あり、そのため、生産高はインド、中国、ナイジェリアに次いで高い。

国別生産比率

4.落花生の用途
落花生には、次グラフに示すように、脂肪が約50%、タンパク質が約30%含まれており、栄養価が
きわめて高い。しかも、独特の風味をもっている。

落花生の成分表

落花生の用途は広く、搾油原料にするほか、いろいろな調理法や加工法がある。
ヨーロッパでは、アフリカから輸入したものを搾油しサラダ油やフライ油などの食用油、マーガリンの原料
などに用いている。搾りカスは家畜の飼料に用いることが多い。
アメリカではピーナッツバターに加工されるほか、油揚げマメ(ソーテッドピーナッツ)や製菓用にも用いて
いる。
東南アジアやアフリカでは、スープにまぜたり、デンプンをまぜて主食用に調理されている。
また、ゆがいたり、いりマメとしても食べられるほか、嗜好食として、いろいろな加工法がある。
中国料理では、炒め物には落花生油は欠かせないものとして重宝されている。
わが国では、栽培の歴史が浅いため用途は少ないが、独自の風味があり栄養価も高いので、今後、
ますます、多くの調理法や加工法が開発されるものと考えられる。

日米消費形態

[参考文献]
ラッカセイのつくり方第6刷(昭和58年3月30日) 社団法人 農山漁村文化協会
千葉県らっかせい百年誌(昭和51年10月01日) 千葉県農林部農産課
千葉県農林水産統計年報 千葉県農林部農産課

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